多周波ステップCPCミリ波レーダを用いて、車載レーダへの応用(Stop&Go for ACC:Adaptive Cruise Control,PC(Pre-Collision)歩行者検知)を想定した実験を実施しています。
【論文】
多周波ステップCPCミリ波レーダによる踏切内の複数人物の検知実験を実施しました。踏切の遮断機の横に多周波ステップCPCミリ波レーダを設置し、踏切内の複数の人物を検知するとともに距離、速度、角度情報により分離してます。多周波ステップCPCミリ波レーダによるホームからの転落検知実験を実施しました。ホーム下に多周波ステップCPCミリ波レーダを設置し、逆光という悪環境に左右されることなく、ホーム上を複数人歩行している状況において、ホームからの転落者のみを検知しています。
安全運転支援システムは、インフラ(センサ、通信機器)と車が協調して、ドライバーから直接見えないまたは見落としのおそれがある交通事象を、ドライバーに情報提供することで交通事故等の防止を目指すシステムです。当研究室では、昼夜・天候に関わらず安定した交通事象の計測が可能なレーダ方式の研究と共に、実フィールドにて人物や車両の検知等の実験的検証を行なっています。
バス車内での乗客の事故の原因として,バスの発進,停止時に,乗客(特に高齢者)がつり革などにつかまらずに歩行や立ち上がることでバランスを崩す転倒事故があります。このようなバス車内での乗客の事故を未然に防ぐため,センサを用いたバス車内の安全モニタが求められています.
実フィールドにて人物や車両の検知、交通流量の計測等の実験的検証を行なっています。
【論文1】
稲葉研究室では電磁波を用いた非接触での呼吸信号計測技術の研究を行っています。 呼吸信号を非接触で計測することにより、医療現場において心肺に疾患がある患者や無呼吸症候群の疑いがある患者のモニタリングや災害時に倒壊した家屋や瓦礫の下に埋もれた生存者の捜索、その他、カメラが使えないようなプライベートスペース(トイレ、浴室等)における安全モニタなど広範囲の応用が期待されます。 呼吸信号の計測は呼吸による体表面の変位を捉えることで行いますが、呼吸による体表面の変位は、その振幅及び速度がそれぞれ数o程度、数o/s程度と、ごく微小でゆっくりとしたものです。光に比べ波長の長いマイクロ波でも、変調方式を工夫することで1o以下の精度の微小変動を計測可能です。当研究室ではこの体表面の変位を捉えるのに適した検知アルゴリズムの検討を行うと共にソフトウェアレーダを使用した呼吸信号計測の実験を行っています。
シロアリは湿気の多い暗所を好んで浸食するため、シロアリの存在を目視で発見することは難しく、目視で発見したときには既に甚大な被害となっていることがあります。 このような背景から、シロアリの早期発見法の研究・開発が必要とされています。 稲葉研究室では電磁波によるシロアリの非破壊・非接触検査レーダの研究・開発に取り組んでいます。非破壊であることに加えて非接触での検査を可能とすることにより、検査を飛躍的に効率化することが出来ると考えられます。電波法令で定められた周波数、送信電力(10mW)、瞬時帯域幅、アンテナ利得に関する制約の中で、内部にシロアリが生存する木材の表面から離しても検知する方式を研究しています。
シロアリ被害の例
2007年に打ち上げられた月周回衛星「かぐや」の後継として、月着陸衛星「かぐやU」プロジェクトが立ち上げられようとしています。 かぐやUでは、月に着陸船を着陸させ各種観測が行われます。この着陸船を精度よく安全に着陸させるためのセンサが月着陸レーダです。 月着陸レーダは、現在宇宙開発機構(JAXA)にて開発が進められていますが、複雑な地形でもより精度よく高度と相対速度を計測可能とする方式に関して共同研究を実施しています。
空港滑走路上のボルト等の落下物は,航空機の離発着における直接的かつ重大な危険要因です。この落下物検知のためにレーダを用いた検出システムの開発も進められています。当研究室が提案する多周波ステップ方式は,周辺移動物等との信号の混信がない,かつ狭受信機帯域幅で高距離分解能が得られることから上記提案法との適合 性に優れていると考えられます。レーダ変調方式として,多周波ステップ CPC 方式を採用し,地面クラッタ環境下における小物体検知応用に対する有効性を検証するためにフィールド実験を実施しました。
落下物検知実験風景(上),検知対象物体(下)