レーダの受信波には目標からの反射波以外にガードレールや建物といった静止物からの反射波(クラッタ)が存在し、目標を高精度に検知するためにはクラッタの抑圧が重要な技術課題となっています。クラッタを抑圧する手法として、STAP(Space Time Adaptive Processing:時空間適応信号処理)があります。
不要波の概要
STAPでは、アレーアンテナで受信した時間方向(パルス方向)と空間方向(アンテナ方向)の二次元計測データを用いて、クラッタや干渉波などの不要波の抑圧を行います。
従来法であるPulse-Doppler Filter+Multi Beam Forming(PDF+MBF)はクラッタ抑圧信号処理として広く利用されています。(A)目標の相対速度とクラッタが離れているときはクラッタと目標を分離できますが、(B)目標の相対速度とクラッタが近接する状況(目標が低速で移動する場合)ではクラッタと目標の分離が困難です。そこで、STAPを用いることで、(B)目標の相対速度とクラッタが近接する状況(目標が低速で移動する場合)においても目標を検出することが期待されます。